呪い

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呪い

 空一面が白い雲で覆われたある日、日本のとある町で、どこにでもいそうな普通な夫婦の間に普通に可愛い女の子が産まれました。  誕生から三年の月日が経ち、やはり普通に可愛く育った梨乃と名付けられた女の子は、普通よりも好奇心旺盛で、少しばかりやんちゃでした。  その年に、まだ結婚式を挙げていなかった普通な夫婦は友人と家族の勧めで小さめの教会で式を挙げることとなり、その結婚式の下見の時、夫婦が目を離したすきに好奇心旺盛だった女の子は、神の像によじ登り、髪を留めていたピンでその神の像の両手に傷を付けてしまったのだ。  その次の日の朝女の子が起きると、寝ていたベッドがモノクロになっていた。驚きと混乱の混ざった大きな鳴き声で目を覚ました両親はその光景に驚き、その女の子を抱きかかえると、その女の子の手が触れた所からじわりじわりとモノクロになっていく事に気付き、女の子に何かあったのか慌てて聞くと、 「かみさまのてにけがさせちゃったぁ」 と言う。 その小さな幼い手は自分の皮膚をもモノクロにしたのか、真っ白になっていた。 ――これは、女の子にかかった色を奪う呪いだった。
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