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白い手
触った物全てをモノクロにしてしまうので怖くなった両親は梨乃を病院へ連れて行った。
それでもやっぱりそんな前例はなく、奇病としてその「病気」が登録された。
──それから15年程──
少女はもう女性になっていた。
あの仲睦まじかった両親は梨乃の家にはいなかった。
梨乃は大学生になり、学校のない休日はモノクロの自宅に閉じ込もった。鍵をかけて。
梨乃の部屋には勉強する真っ白になってしまった机、教材をしまう灰色になってしまった棚、木でできている真っ黒になってしまったベッドフレームの上に白いシーツと灰色の布団、白い手袋。そして、梨乃の両親にそっくりな白黒のピクリとも動かない像と真っ白な猫の像。どの象も目はまるで色の入った硝子玉のようで、妙に生き生きとしているが、ちょっと触ったら崩れてしまいそうな脆さも感じる。
怖い。
様々な実験をした結果、手袋をすると10時間程度だけは防げるらしいが、材質は関係なく使い捨てになってしまうため、学校の時と、あるかどうかは分からないが、出かける時にだけつけることにしている。
「さて、私の生い立ちはこんな感じ。」
「怖いよね。もう、私の友達でいてくれなくても良いんだ──って……えっ何泣いてるの。」
「なんか……すごく他人事だけど可哀想だなってっ思って。」
そう、私のたった一人の友人である友鵺は言った。
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