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大体自分勝手なんて言われ慣れてるし。
元カノにだって散々言われてたよ。だったら早く別れてくれれば良いのに、キープしとくんだもんなー。
「だからちょっと、ぬくもり分けてよ」
「何が、だからなんだよ……」
でも力は抜いてくれるんだ。優しいね。
「あー。春真いい匂い」
「お前も同じ匂いだよ。オレんちのシャンプーと石鹸なんだから」
「自分じゃ分かんないから、これは春真の匂いだよ」
「……首元で嗅ぐな──いい加減本気で怒るぞ」
「──初めて、あんなに長く続いたのになあ……」
「元カノ?……続いたも何も、おまえ騙されてたんじゃん……忘れて次いけば」
「いらないかなーもう。コレでいいや」
「コレって……オレかよ!?」
「そう。春真の抱きまくら。愛だの恋だの神経すり減らさなくてもさ、ちょっと人の体温感じれば、けっこう癒やされるもんだね」
「……オレは迷惑だ……」
またモゾモゾして……あ、こっち向くのか。
暗いからかな、春真の目っていつもこんなに潤んでたっけな。
「ほらしっかり現実受け止めて。お前が抱きかかえてんのは同い年の野郎だよ。血迷ってんな」
ああ、それで身体押し付けてきてるの?
胸真っ平らだし腹も硬いね。オレと同じ。でもちゃんと弾力あって、触り心地いいじゃん。
「──っ、おい。誰が触れって言ったよ……!」
「現実見てるんだよ」
──ヤバイ、嫌悪感全然ないや。
それどころかさ、嫌がるお前の顔がさ……なんだろうこの気分。もっとよく見せてよ。
「離せ……!」
顎掴んだだけでそんな顔する?
じっくり見たって女の子には見えないのに──かわいい……?
「春真──」
「秋っ────んん……」
なんだ、唇の柔らかさに男も女も関係ないね。
……マズイちょっとこれ止まんないかも。
逃げないでよ。追いかけたくなるでしょ。
あ……舌が絡んだら絡めてくるの……ズルいって……あーヤバイ気持ち良い──。
唇離したら唾液の糸引いてるって、どんだけ本気で盛り上がったんだろうねオレたち。
そりゃお前も茫然自失だよね──まあオレもそんな気分。
──なんでオレはお前にキスなんてしちゃったんだろうね…………?
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