百年桜

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「しかし、こんな少年の描く絵とは思えないですね…」 倉科君も誠一郎の描いた絵の迫力に圧倒されている様だった。 「これも未来の絵か…。未来とは良いモノとは限らんという事か…」 私は湯呑をテーブルに置いた。 「地震だよ…」 細い通る声を誠一郎が発した。 そしてゆっくりと起き上がる。 「地震だって…」 倉科君は誠一郎を覗き込む様にしてそう言った。 誠一郎は小さく頷く。 「多分、百年くらい先に、この町で大きな地震が起こる…」 私は眉を寄せて、その大きな絵を見た。 揺らぐ大地、崩壊する街、逃げ惑う人々、泣き叫ぶ声。 それが聞こえて来る様だった。 三人は夜が明けるまで、黙ってその絵を見つめていた。
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