日常

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最初の頃こそ期待の新人なんて言われていたが、同期に仕事が出来て愛想も良く、上司から可愛がられる男がいた。そのうち、その同期を可愛がる上司の一人にパワハラや嫌がらせをされるようになっていった。 初めは軽く嫌味を言うくらいだったが、段々とあからさまな態度になっていき、今までいじめなどにあったことのない俺の心はすぐに折れた。いや、折れたのすら気付かなかった。 少しづつ蓄積されたダメージは、ある日堤防が決壊するかのように身体に表れ始めた。 何か体調がおかしい、そう思いながらも会社に行き続けた日々。頭痛や目眩、吐き気で仕事にならない俺に上司は当たり散らすのが日常だった。 そしてそんな日常に耐え続けたある日、部屋から出ることが出来なくなった。入社してまだ半年ほどの時だった。 潔く仕事を辞め、一月ほど寝たきりのような生活を送り、これでは駄目だと面接を受けに行くが、半年で仕事を辞めたことが上手く説明出来ず面接を落ちる日々。対人スキルがあったはずなのに、どんどんと人と会うのが怖くなっていった。 そして再就職先が見つからないまま時間だけが過ぎ、俺は実家へと戻った。両親は心配してくれ、それに対して申し訳なく思い負のスパイラルへと陥っていく。
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