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フフ・・・さあ、択びなさい!
松明はその役割を終え、瞬く間に闇が訪れる
光を失ったこの部屋にはもはや臭気しか感じられない
異様なさざめきを除けば・・・
『ばりっ!くちゃ、くちゃ・・・
めきっ!めきっ!
くちゃ、くちゃ・・・
がりっ!がりっ!
くちゃ、くちゃ、くちゃ、くちゃ、くちゃ、くちゃ、くちゃ、くちゃ・・・・・・・
私の可愛い坊やたち。
あなたと私。
やっと重なり合うことができたわね』
女性と思しき者、いや、麗人と思しき者はその行為を完うすると闇のさらに向こうへと姿を消した
刻は流れ
一人の青年がある部屋に迷い込む
松明の火のゆらめき、その灯火は部屋の隅々を妖艶に浮かび上がらせる
そこには
【光り輝き続ける白金の手鏡】
【黄金の羽根が刻印された万年筆】
【ダイヤモンドをあしらった漆黒の本】
【夢見鳥が刻まれ深紅に染まった果実酒容器】
【永遠の刻を奏でる青藍の懐中時計】
【日長石と月長石が埋め込まれた双方深碧の指輪】
【まどろみを誘う紫紺に燃ゆる燐寸】
まるで新たな主人を待つかのように静かに佇んでいる
『あら?あなた、かわいいわね。
きっと、あなたに似つかわしいものが見つかるはずよ。
フフ・・・
さあ、択びなさい!』
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