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彼女の日常 2-1
「いらっしゃいませ」
ある生活用品店に高校生ぐらいの少女が新人と言う名札を身に付けて元気とは
言えないが普通の音声で決まり文句の言葉を発する。その言葉に返す言葉もなく、
時間だけが過ぎていく空間中。
「はぁ……何で私がこんな事を」
新人のレジの少女の神月空は肩を落として溜息を吐いた。
そんな神月空もレジに客である人間が来そうになると愛想の良い笑顔を浮かべて
業務の一つである会計をする為の行動に移る。
「いらっしゃいませ」
神月空はお客である存在に笑顔で告げた後に作業を行い始める。商品の量を目で
ある程度、どの位なのか見極めるように数秒見続ける。そして多いと判断した神月
空は隣からカゴを置いてスキャンした商品をパズルのように何処に置くか脳内を働
かしながら手を動かす。
それが終了すればお客である人物に値段を告げる。その言葉に反応したお客はお
金を出すのを見届けて会計を済まそうと手に取って後は計算を済ませてお釣りを渡
す、それだけのはずだった。
「店員さん。ハサミは何処にあるんじゃ」
そんな神月空に男性のお年寄りのような声が後ろから聴こえて来たのだ。神月空は
お釣りを返しながら後ろを確認しようとするが別の客が並んでしまう。答えれば済む
問題なのだけれど神月空は此処に入って時間が余り経っていない為に大型である生活
用品店の商品の位置を完全に覚えきれてなかったのだ。
その為に焦りを覚えて軽いパニック状態になった神月空はレジに置かれている応援
を呼ぶ電話で人を呼ぼうとするが。
「アンタが教えてくれればええんや」
と、焦らす声が追い打ちでくるのだ。
レジも人が並ぶ人が増える。後ろからはイライラしたような声音が聴こえると言っ
た状況に不安定に心が揺れながらも応援を呼ぶ事にした神白空は店内放送で別の店員
を呼び、レジに集中する事にした神月空の耳に愚痴のような悪口が届く。それに耳を
押さえたくなる感情に我慢しながらもレジを行い、一段落下させた神月空は振り向い
て、年寄りの声が聴こえて来た方を無感情に見つめた後に何もない所から黒い小型の
手帳を出現させたのだった。
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