伯爵4

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伯爵4

「鼠小僧と総司はこちらに来てくれ?」  伯爵が戻って来て机に座る。 「今から出かけるから付いてくるのだ」  伯爵と出掛けるのは初めてのことだ。明治の街中を歩くのも初めてだ。和洋折衷の人達が混じりあっている。そういう中ではジーパンにTシャツの私と侍の総司も不思議には映らないようだ。人力車に乗った伯爵の後を1時間歩くと洋館の建物が出てくる。広い庭を抜けると立派な玄関が出てくる。  伯爵は慣れているようでドアを開け廊下を地下に降りて行く。͡この地下のドアでは伯爵がノックする。するとゆっくりドアが開く。 「ようこそ」 と握手をしてくるのは1,8メートルを超える白髪の外国の老人だ。 「この二人が?」 「そうです。彼らはトラベラーです」 と言ってから伯爵が、 「ウィリアム候はイギリスの代表で来られている。であるが本来博士として付き合っている。トラベラーを研究しているのだ。源内から聞かなかったか?」  博士は分厚い本を出してきて開いてみせる。伯爵は横文字を読めるらしく頷いている。 「確かにトラベラーは数は多くないがいるのだ。ただこちらから向こうに行くことには成功してません」 と言いながら博士は二人の体を眺めまわしている。それから英語で話す。 「どうかな?」 「難しい?」 「鼠小僧は従順ですが、総司は難しい」 と手を上げて答えて伯爵がこちらに向いて困った顔で言う。 「二人に裸になってほしいと言われている」  総司の表情が険しくなっている。胸元に手を突っ込んでいる。 「刀三昧は駄目ですよ」  すると総司がすらりと着物を脱いだ。胸が膨らんでいてあるべきものがない。女だったのだ。私も慌てて裸になる。博士はさして驚くふうでもなく体中を調べまわる。
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