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【生徒会長、海外視察の為しばらく不在】
生徒会が執り行う“握手会”なるもので発光大名の不在を発表した性悪デビル。
真友くんにボッコボコにされたにもかかわらず、生徒会は彼に法的措置をとることなく不在の理由も表向きにはスタイリッシュな感じだ。
生徒会の親衛隊がキャーキャー騒ぐ中、私と真友くんはお菓子の本を読んでいた。次はクッキーにトライしたいらしい。
「ゆで卵からいきなりクッキーはちょっとハードル高くないかな?」
「大丈夫。調理実習で作った事あるし。それに藻部も作れるだろ?」
「……作れるけど、何で?」
「どうせなら一緒に作ろう。ついでにキッチンも借りていい?」
ここぞとばかりキラースマイルをブチかます真友くん。コイツも他のウザイケメンと同類では? と思うほど的確なタイミングで使ってくる。
「真友くん卵アレルギーなんでしょ? クッキー作っても食べれないんじゃ意味ないでしょ?」
「心配ない。卵やバターなしでも作れるレシピがある。それで可愛いクッキーを作りたい」
発言にそこはかとなく感じる女子力! 残念ながらホットケーキミックス頼りの私にはこの時点で試合放棄。
「ごめん。特殊なレシピはムリ。なんかフワフワ系の“休日はスコーン焼いてます“って感じの子に頼んで。では!」
握手会がヒートアップする中、今ならトイレに籠もっても大丈夫だろう。朝から乙女のせいで気分はSO BAD。
「あ、ちょっと待てよ藻部!」
待たぬ。トイレが我を呼んでいる。
「どこ行くんだ藻部!」
ガシッと掴まれた腕から伝わるイケメンの体温。
手汗など出ないのかサラッとしてて心地良いーーけど、お腹が限界! もっと違うタイミングでやって欲しかった……!
「……真友くんには姉妹とか居ないの?」
「えっ?」
「……具合の悪そうな女の子に行き先や理由をたずねないのが暗黙のルールだよ」
すると、ハッとした顔で『ごめん、藻部が女子だという概念がそもそも無かった』と誠に失礼な発言をしたので、私はモブ顔を般若に変化させて奴に頭突きを食らわせた。
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