空手指導員デビュー

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「ええと、あと土曜日休みの日は土曜日も」 真理子の眉間の縦皺がキュッと深くなるのを見て、私は視線を逸らしました 。 「ふーっ」とため息とも深呼吸ともつかない息を吐きだした真理子は、初めてコーヒーカップを手に取り冷めたコーヒーを一気に飲み干しました。 「そう。じゃあもう私に会う時間なんかないわね」 「いや、そんな。ほら今だってこうして会ってるしさ、日曜祝日だって日中は空いてるわけだし」 「私、そんなパートタイムなデートなんか嫌よ。冨井クンとのお付き合い少し考えさせてもらう。じゃあコーヒーごちそうさま」 言うなり真理子は立ち上がり、踵を返すようにして喫茶店のドアを開けて立ち去りました。 ・・・もしかしてフラれた・・・? そんな気まずい出来事のあった週末の午後、私は中川先生の勤めるショッピングモール内にあるスポーツクラブの一室に出向きました。普段はヨガとかバレエ、ダンスなどの教室が開かれている部屋です。 清潔な壁と床、鏡やバレエのレッスンバーも付いているとてもきれいな部屋。 ここが夕方から2時間ほど中川先生の中空会空手道場となるわけです。 ひさしぶりの空手の稽古。しかもこれからは指導員という立場です。 稽古前には入念にストレッチしなければなりません。     
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