プロローグ

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私は思わず足を止めて、それらのポスターを眺めました。 『××協会』『××会館』といった日本でもメジャーな会派・流派のものから、『モンキー流カラテ』だの『ブシドーカラテ』だのちょっと怪しげなものまでぎっしり。 「どうしたトミー?ああ空手のポスターだね。トミーも日本人だから空手できるんだろ?」 「ボウイあのさ、もしかしてスリランカって空手が流行ってるの?」 「流行ってるなんてもんじゃないよ。大流行だよ。俺もそのモンキー流で空手やってるもの」 目まいがしてきました。暑さのせいじゃありません。 ・・・なんだここは?とんでもない激戦区じゃないか。こんなところで僕に何ができるんだよ!・・・ 「トミー、スリランカの空手が見たいかい?ちょうどこの先のお寺で合同稽古やってるはずだよ。見に行こう」 こっちの気も知らないボウイが陽気な声で言いました。 甘かった。早くも後悔でいっぱいです。 ・・・なんでこんなことに?なんで僕はこんな所に居るんだろう?・・・ 私は自分の軽率を悔やみつつ、これまでの日本での出来事を思い出していました。
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