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数日後、奇妙な匂いがするとアパート住人からの連絡を受け、大家が警察官を伴って考太郎の部屋に入った。
「やっぱり」
警察官が本部に連絡を取り終えるのを待って大家が話しかける。
「どうか大事にはしないでくださいね、きれいにリフォームすれば誰もわかりませんから」
こうして勇敢な考太郎が去ってしまった後の左の扉の世界では、一体いつまで当たり前を放棄し続けていくことになるというのだろう。
昼を過ぎた冬の太陽が大家と警察官に短い影をうっすらと映していた。
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