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"かかか"とも"けけけ"ともつかぬ独特な声に、私は進まないペンを置いて庭を見た。
私は普段から特別、景色を見て喜ぶ性質ではない。植物の世話に熱心な植木屋がふた月に1、2度剪定をしてくれているが、主人の熱がこもらない庭というのはこんなにも寂しいものか、と時折感じるほどである。なにしろ、普段草抜きさえしない私だ。そこに生えているものの名前も知らない。
しかし赤松と果樹が数本植わった数坪の人工的自然は、目を休ませるにはもってこいの場所だった。陽がさすときには外へ出て、しばらく季節を堪能した。
庭の一角。風が、赤く熟れた鈴なりのグミをかすかに揺らす。そのひと枝に、せわしなく鳴き、しきりに周囲を見回す、声の主がいた。
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