1、お迎えヒメコ

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1、お迎えヒメコ

 朝起きると、巨大な段ボールがリビングに置いてあった。  細長く、小さな子どもなら簡単に入りそうなサイズで、伝票には差出人は書いてないけど、宛先にわたしの住所がしっかり書かれていた。  受取人、『真藤メイ』。  …うん。確かにわたしの名前だし、受け取りのサインもわたしの物だ。  だけど、いつ受け取ったのか、いつ書いたのか全く思い出せない。  わたしは必死で記憶を辿った。  昨日は残業し、自宅に着いたのは深夜だったような気がする。  明日は休みという安心感と日頃のストレスから、わたしは大量のアルコールを摂取した。  別に現実逃避しているわけでも、アルコール依存性ていうわけでもないが、飲まなければやっていけない時もあるのだ。  でなければ、わたしはストレスで憤死してしまうだろう。  …十分現実逃避してるかな。  いや、わたしのことは置いておこう。  とにかくこの荷物だ。  何回記憶を辿っても、受け取った記憶が全くない。  酔った勢いで受け取ったのかな?  しかし、日付も変わるような深夜に配達なんぞ来るだろうか?  そもそも配達会社の名前すら書いてないし…。  考えれば考える程頭が痛い。  多分、80%は二日酔いだろうけど。  色々と考えあぐねたが、わたしは結局開けることにした。  このまま放っておいても解決しないし、なにより頭痛が酷すぎてこれ以上考えたくない。  それに、会社名が無くても伝票が着いていれば大丈夫だろう。多分。 「えっと、カッターどこ置いたかな」  わたしはカッターで梱包を剥がした。  段ボールを開けると、中は緩衝材が敷き詰められていて、肝心の荷物は見えなかった。  ちょっと面倒だが、緩衝材を一つ一つ取っていく。  通販や荷物を受けとる度に思うのだが、最近緩衝材や固定が過剰すぎやしないだろうか。  わたしが小さな頃は、箱を振れば音がするぐらいには適当な梱包だった気がする。  勿論、傷つくよりは良いのだろうがちょっと面倒臭い。  …等と呑気に考えていたが、緩衝材から顔を出した物を見て、わたしは腰を抜かした。
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