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ゆっくりと目を開くと、知った顔が並んでいた。
魔女二人とオカマ。全員の顔をボーと眺めていると、自然と笑顔が浮かんできた。
「…なにニヤニヤしてんのよ?」
「うん…ちょっとね」
呆れた顔で溜め息を吐くまっちゃん。
しかし、すぐに笑顔になると、わたしに手を貸して引っ張り起こした。
「…ヒメコは?」
わたしが言うと、まっちゃんは黙ってドーラさん達を指差した。
意味ありげに笑う二人の後ろから、小さな顔が顔を出す。
さっき、マナの海で見たまま。
どこも壊れていない、そのままのヒメコだった。
「ほら、行っといで」
ドーラさんに促され、ヒメコがわたしに近付く。
妙に静かなのは、ちょっと照れ臭いんだろうか。
『あの…ご主人さま…』
わたしは何も言わずに両手を広げた。
ヒメコの表情が少しだけ変わり、まるで何かを誤魔化すように、わたしに向かって飛び込んだ。
「…おかえり、ヒメコ」
『はい…ヒメコ、ただいま帰りました!』
ヒメコが笑顔を見せる。
その瞳には、涙が滲んでいた。
「おやおや、その娘も晴れて化け物の仲間入りかい。あんたはつくづく化け物に縁があるねぇ」
「お、お師匠さま…もう少し言葉を選んだ方が…」
イザベラさんが宥めるが、実際その通りだからなんとも言えない。
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