エピローグ

1/2
前へ
/126ページ
次へ

エピローグ

 暑い日差しが、わたしを照らす。  遠くから蝉の声が聞こえてきて、耳の中まで暑い。  加えて丘を登っていくから、息も切れるし、汗も吹き出る。  もうすっかり夏だなぁ。  日陰も少ないし、気を付けないと熱中症になりそうだ。 『ご主人さま、大丈夫ですか?』 『へばるの早いわよ。体力落ちたんじゃない?』  先を行く娘たちが声を掛けてくれる。  二人はドールだから、暑さとか関係無いのかな。 「うん、大丈夫。今行くよ」  わたしは二人の手を取った。  両手が冷たい。ちょっとだけ元気が出たような気がする。  それにしても、二人とも成長したなぁ。  精神的にもそうだけど、体格的にも。  アリスの件から人間と人形の境目が曖昧になってきてたけど、最近は特に顕著だ。  ヒメコは感情表現が豊かになったし、身長も伸びた。なにより、泣けるようになったのが今までとの違いだろう。  イノリはイノリで更に成長中。身長は、ヒメコと殆ど差がないくらいまで大きくなった。  …この先どうなるのか時々不安になるけど、なんとかやっていこうと思う。  イザベラさんも、まっちゃんもいるし、今のわたしは一人じゃないから。  因みに、マリコは相変わらず世界中回っているらしい。  たまにお土産とか送ってくるから、元気ではあるようだ。 「ヒメコ、マリコとは連絡取ってるの?」 『たまーにですが頭の中に話し掛けてきます。大体はどうでもいい話なので無視してます』  うーん…姉妹間の確執は深いらしいな。  実の姉妹なんだし、もうちょっと仲良くしてもいいんじゃないかな。 『あたしんトコにはしょっちゅうあるわよ。お正月には顔出すって言ってたわ』  逆にお姉ちゃんズは仲良いのか。  しかし、正月に帰るっていわれても、ちょっと困るんだけど。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加