第13問

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 そして、あった。4年前の6月に、  溺死した男の死体。ナンバー 6078277       氏名不明。身長168㎝、生前の推定体重約50~55キロ。  灰色ジャンパー 黒のスェットズボン。灰色ブリーフ。白い半そで肌着。  首チャック付きのトレーナー。  持ち物、上着の内ポケットの中に質札。背中に創傷あり。財布、現金十六万 と3456円。鍵1本。文庫本「山頭火句集」  愛知県名古屋市西区比良 蛇池のそばで発見される。  心あたりのある方は 名古屋市生活保護課へ    ああああああああ、あった。  ぼくは、第六感のようなもので、この人物がオヤジであると確信した。  背中の創傷。  蛇池のそば。  山頭火を持ち歩いていた?    これこそ、オヤジに違いない。もう、すでに当然だが荼毘に付されていた。  オヤジ、どうして、溺死?  溺死 ぼくは、茫然とする。 なぜ、溺死なのか。
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