第1問

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「さ、こちらにみせてくださいな」  とぼくの腕をとると、患部に口をあて、ちゅうちゅうと吸い、毒のようなものをぺっと吐きだした。  ますます、マンガのようだ。こんなことが現実であるはずがない。  とにかく腕の脂肪、いや血を吸われるなど、生まれて初めての経験で、痛さとあいまって恥ずかしさが増大し 「な! なにをするんです!」ぼくは、腕を引っ込めようとしたら、強い手で、引き戻される。 「いうことを聞きなさい!」  なんだ、なんだ、この女は、痴漢なのか?  ぼくは、蜂に刺された痛みと、その驚く出来事で狼狽し悶絶しそうになる。  女はやっと毒をすいだすのをやめて、にっこり笑っていった。 「これでよろしいわ。さ、おうちで消毒しましょう。ユウちゃん」  え? ユウちゃんだって? ぼくの名は大関朋朗というのだ。どこにもユウなんてついていないぞ。 「は、ぼくは、ユウちゃんじゃないし、それにおうちって」  ぼくが相続したつもりの、いや、ぜったいにはんこをしっかり押した、もと伯母さんのだと推測される家に、その女は入っていく。そして手招きしているのだ。 「え?」 ぼくは絶句した。  そもそもこの家は、そうだ  間違っているのかもしれない。他人の家なのだ。そうだ。きっとそうなのだ。  家宅不法侵入だったのかも。  しかし、もう、あらがう術も力もない。  招かれるままにとぼとぼと玄関に向かうとそこには  「大関きよ」とおばさんの名前の表札がかかっている。  ああ、これはどうしたことか?  ぼくは詐欺にあっているのだろうか?
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