分解日和

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 そうやって輪切りを外していくと、輪の中の骨組みが残るんだが、ここにこの銃の本体とも言える有機体が入ってる。  この銃が飛ばしてる弾は、いわゆるエネルギー体ってやつだ。鉛やなんかの金属体じゃない。そのエネルギーは、骨組みに支えられた有機体から発生してる。うちらが「小脳」って呼んでる部分だが、銃の中の回路がここに常に負荷をかけている。  平たくいうと、電気を帯びたハリガネが小脳を常につっついてる。それで小脳は常にストレス状態になって、エネルギーが溜まってくる。トリガーを引くと、それに連動した特殊なニードルが小脳をぶっ刺して、ストレスが許容できなくなった小脳は発狂してエネルギーをぶっ放す。これが獲物をやっつけるってわけだ。  安心してほしいが、小脳ったって動物やなんかの脳を取ってきて埋めてるわけじゃない。もっとも大昔はそうだったっていうんだが。  オカイルカっていう、陸地に生息するイルカの脳がこのシステムの生みの親で、そいつらはこの銃のために乱獲されていまは動物園にしかいないんだが、その脳をメーカーが分析して、自分とこでなんやかんや混ぜて培養したのが今の「小脳」だ。  だから動物を殺して使ってるわけじゃない。人工のものだ。そう聞いてるよ。
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