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9話
「やばい逃げろ、あれは『ビッグマウス・サンドワーム』だ! あいつは何でも一口で飲み込む。ゴールドベル・スケープゴートはオレたちのために犠牲になったんだ」ブラカスちゃんが喚いて走り出した。
ビッグマウス・サンドワームはブラカスちゃんの声に気づいて、頭を僕らの方に向けた。方向転換して僕らを追いかけてくる。地面から頭を真っ直ぐに突き出して、それを前後に揺すりながら砂の中を泳いでくる。沢山の節があって、姿は巨大な黄色いミミズだったが砂漠にいるために表面のなめらかさは無く、どちらかと言うと乾燥して硬そうな分厚い皮膚をしている。
「わわわ、こ、腰が抜けて」
僕はそのビッグマウス・サンドワームのあまりの迫力にその場に座り込んでしまって、立ち上がることさえ出来なかった。
「えい!」ポクッ
エメドラちゃんがステッキで僕の腰を叩いた。
「便器ちゃんもう立てるでしょ、急いで」
エメドラちゃんのステッキは、一瞬で僕のぎっくり腰を癒やしてくれた。僕は急いで立ち上がって、前を走って行く二人の後を追った。
ザザザザシュッ
砂漠の地面の上に、砂に足を取られながら僕らは必死に逃げていく。
ドドドドドドドドドッ
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