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後ろから地面を掘りながら進んでくるビッグマウス・サンドワームの全身する音が、地面の震動と一緒に響いてくる。
ドテッ
「あ、ブラカスちゃん!」
ブラカスちゃんが転んで地面に突っ伏した。
「大丈夫? ブラカスちゃん」
僕はブラカスちゃんを助け起こそうとひざまずいた。
「バカ、いいから逃げろ便器ちゃんまで食われちゃうぞ」
振り返ると、ビッグマウス・サンドワームは丁度、自分が投げ上げたゴールドベル・スケープゴートの頭が落ちたところだった。
チリーン
山羊の頭に付いたベルが、もう一度音を鳴らした。その音が気になったのか、ビッグマウス・サンドワームはその場で一瞬、動きを止めた。
「エメドラちゃん、ブラカスちゃんが走れるように癒やしてあげて」僕は言った。
「無理だよ、ブラカスちゃんは傷ついて走れない訳じゃなくて、アムリタが足りないから歩けないの」
「そんな、それじゃあブラカスちゃんは僕が担いでいくよ」
僕がかがみ込んでブラカスちゃんを背負おうとすると、エメドラちゃんが側に寄ってきて言った。
「便器ちゃん、便器ちゃんは一人で逃げて・・・・・・私ももう走れないから、だから私はここでブラカスちゃんと一緒にいる」
エメドラちゃんはブラカスちゃんに寄り添って、僕を見つめた。
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