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「冬馬」
「あ、りょうちゃん。……もういいの?」
「うんいいよ。で、何? もう帰るのか」
「え、あ、ごめん。……でもここじゃちょっと」
「は?」
「ごっごめん! でもあのその、ここじゃ言えない話だから」
「謝んなくてもいいけどさー。改まってなに? 怖いなぁー」
ごめんねごめんねと謝られながら着いていくと、途中で別の教室からいきなり飛び出してきた女子にぶつかりかけて「ごめん怪我ない? ごめんね」と、謝らなくてもいいのに冬馬はぺこぺこ頭を下げていた。さっきの唯助みたいに誤解されちまう所もあるけど、こーゆー所は憎めねーなと思う。
そして連れられてきたのは廊下の突き当たり。随分暗い場所に来たなーと眉をしかめる俺に、勢いよく振り返って、冬馬は言った。
「あの! りょうちゃん! す、すすす、好きです!」
「は?」
「俺と付き合ってください!」
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