第1章

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空白。 なんだ。今日ってエイプリルフールだっけ? 瞬きも忘れて、冬馬を見上げる。俺の視線にたじろいだのか、冬馬は頬を真っ赤にして俯いてしまった。よく見ると膝もがくがく震えていた。やたらと髪に触るのも動揺した時のこいつの癖だ。 「……すまん。ムリだろ。どー考えても」 「え。そんなあっさり。ちょ、ちょっとは考えてくれないかな?」 「いや、考えても結果は同じ! 絶対無理!ありえねー! だって俺、女の子が好きだもん! 俺がお前を好きになるってことは100万回生まれ変わってもないから! 以上!この話はおわり! 二度とするなよ! じゃあな!」 「りょ、りょうちゃん! 待って!」 叫んでたあいつを置き去りにして、さっさと帰ってきてしまった。俺もちょっと動揺してたのかもしれない。 その後。春休みになっても、冬馬から連絡はなかった。俺もあえて連絡はしなかった。まぁ、お互いに気持ちの整理が必要なのかなって思ったし。 しかし人生初の告白が男からになるとは思わなかった。誰かに好きだと言われるのは悪い気はしないけど、相手が冬馬の時点で、うーんという感じだ。 俺はあいつを友だちとしか思ってない。それ以上なんて、考えたくもなかった。
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