第1章

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そしてあっという間に時は過ぎ、四月の入学式を迎えた。 真新しい制服に袖を通して、自転車で家を飛び出す。 行き方はばっちり頭に叩き込んである。今日くらいは、家も近いし、冬馬に声をかけてやろうかなとチラとは思ったけど、結局、一人で行くことにした。 高校は自転車で40分。電車とバスでも行けないことは無いけど、乗り継ぎがめんどいから、俺は自転車派だ。 本当なら冬馬と二人で通うはずだったから、ひとりは味気ない。寂しいと思うそばから、だんだんアイツに憤りを感じてきた。 なんで俺なんかを好きなんて言うんだ。 恋人なんて想像もしたくないけど、友だちとしてのアイツには不満なんてなかったのに! あいつがあんなことさえ言わなければずっと、ずっととなりにいられたのに。 バカだ。あいつは。大バカだ。
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