神隠しの先の諦観

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「チセ、すまないがもう少しこの家に留まっていてくれ。あんたがいた地点の特定に手間取ってるそうなんだ」  やっぱり、と千勢は肩を落とす。  そんな彼女を励ますようにカールとマリサは明るく言った。 「猶予ができてよかったわ。急にいなくなったら、あの子達が悲しむもの」 「そうだな。それに、帰る時は送別会を開きたいしな」  この夫婦には子供が二人いる。長男で兄のエクトルと長女で妹のシビルだ。どちらも千勢になついている。  二人のあたたかい言葉に千勢は少し涙ぐんで礼を言った。 「突然転がり込んだあやしい私なのに……ありがとう。帰る日まで、もっともっと畑仕事がんばるね。他のお手伝いも何でも言ってください」  こうして、ニーロは一度帰ったのだった。 ☆  それから一週間、ニーロはほぼ毎日顔を見せて千勢に様子を聞いてきた。  彼女自身の体調とカール達の体調に変化はないかを細かく確認し、記録をつけては帰っていく。  ほとんど事務的なやり取りが終わった時、千勢はニーロを誤解していたことを謝った。 「もっと横暴で権力をかさに着た嫌な人だと思ってたけど、まじめな人だったんだね」 「……ずい分ストレートだな。仕事にまじめに取り組むのは当たり前だろ。あんたところは違うのか?」 「ん……人によるかな」     
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