神隠しの先の諦観

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「そうか。どこも同じだな。それじゃ、また明日か明後日に来る」 「あのっ、私が帰れる目途は……」  この一週間、ニーロから千勢の帰還についての話が出ることはなかった。そのことを彼女は、まだ準備が整わないからなのだと推測していたが、とうとう気になって聞いてみたのだ。  ニーロは言いにくそうに口を歪めた。 「帰還ポイントは何度か特定しかかってるんだけど、どうもブレるそうでな。安全に帰すにはもっとしっかりとポイントを定めたいそうだ。悪いけどもう少し待っててくれ」 「そう……」  千勢はしょんぼりと肩を落としたが、すぐに気持ちを切り替えて顔をあげた。 「いつも来てくれてありがとう。ニーロさんが来ると、私の帰還準備は進んでるんだって思えるよ」  いい加減にされていたら、きっともっと面会の間隔はあいて態度もおざなりだろうと千勢は思った。こんな田舎までほとんど毎日様子を窺いに来るくらい心を砕いてくれているのだと思うと、仕事とはいえ感謝の念を覚えずにはいられなかった。  突然の感謝の言葉を受けたニーロは、居心地が悪くなったのか「どうも」とだけ返した。  その二日後、千勢は訪れたニーロにいきなり眠り薬をかがされ誘拐された。  千勢は、狭い個室で目覚めた。     
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