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それでも表紙は少しばかり手の込んだ革張りの装丁で、聖堂の発展のために回顧録づくりに邁進した敬虔な信徒としか書かれないだろう。懸命に働いたのにもかかわらず、身寄りと金がないために年代別に生涯を割り振られただけの鉱夫よりかはましかもしれないが。
そうして、リアンノンの憂いはもう一つある。
精霊教会の頂点にして最高権力者である聖王から、直々に手紙が来たのだ。
曰く、数週間前に鉱山で捕らえられた鉱石竜が、リアンノンが記した回顧録に文句を言っている。その責任をとれとのことだった。
鉱石竜が喋ったということにも驚きだが、その竜の文句がまた驚くべきものだった。
竜曰く、目の前にある鉱夫の回顧録を書き直せ。
だそうだ。
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