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「僕こそ、怒鳴ったりしてごめんなさい……。普通に考えて、パパのことを知らない人がパパのことを書けるはずがないんだ」
竜の言葉に耳が痛くなる。
その言葉を何度、リアンノンは遺族たちから聞かされただろうか。どうせ金持ちしか相手にしないんだろうと罵声を浴びさせられたこともあった。
嫌なことを思い出して、悔しさにリアンノンは唇を噛みしめていた。
「うん! 僕がパパのことを教えてあげる! そしたら、パパの回顧録書けるよね!」
竜の意外な言葉にリアンノンは勢いよく顔をあげる。欄干からにゅっと鼻を突き出して、竜はリアンノンに思いっきり顔を近づけてきた。荒い鼻息が体中に襲いかかって、リアンノンは思わず顔を顰めてしまう。
「じゃあさっそく、パパと僕の出会った場所に行こうっ! そうした方がパパのことがよりわかるはずだっ!」
嬉しそうに口を開け、竜は喜々と言葉を発してみせる。リアンノンはぎょっと眼を見開いて、彼に言葉を返していた。
「あなたと一緒に旅をしろっていうのっ!?」
「僕とパパが暮らした鉱山まで飛んでいくだけだよっ。すぐに着くから大丈夫っ!」
「鍵守っ! パーシヴァルを放してやれっ!」
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