月明かりの睦言

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五年前に俺が使っていた部屋は、少し内装が変わっていたけど、和室なのは変わってなかった。 万琴さん曰く、思い出すから少しだけ変えたとか。 その部屋で窓から差し込む月の光で、万琴さんの白い裸身がしっかりと見えて、俺はすぐにでも繋がりたい衝動を必死に押さえ込んで、万琴さんの頬に手を添えて、深く口付ける。 初めて万琴さんとのキスは、甘さよりも快感を求めて、お互いに貪るように何度も唇を重ねて舌を絡め合う。 甘く漏れる万琴さんの小さな吐息混じりの声が可愛くて、それすらも俺のものにしたくて、舌を絡め取るようにしてキスの感触を味わう。 もう繋がってしまいたい。 だけどがっつくと万琴さんに負担がかかる。 それに、キスだけでもかなり気持ちいい。 今まで万琴さん以外としたことはあるけど、こんなに気持ちよくなかったし、こんなに相手が欲しいと思ったことは絶対になかった。 それでも五年はそういうことは全くなかった。 女性と付き合うというより、万琴さん以外の選択肢が俺の中になくて、どの女性も同じようにしか見えないし、万琴さんとどうしても比較してしまう。 万琴さんを基準にするとどうしても、基準値が高くなるけど、その万琴さんがくれる心地よさを知ると、やっぱりグレードを下げることができないんだよ。
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