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どうやら一度洗ってあるらしく、新品の衣類にありがちな糊の感じはなくて、肌触りも全然不快じゃない。
髪を乾かそうとした時、首筋に赤い痕があった。
まさか虫さされ?ダニにさされた?
でも痒くないし、万琴さんがそんなに不衛生にはしない人だし、俺が自分で掻きむしったとか汗疹の可能性だってあるし。
髪を乾かして、服も着て身支度を整える。
やっぱり清潔感は大事だよな。
ってか、下着と靴下は洗濯物として洗ってもらってるんだろうか?
キッチンに戻ると万琴さんが出来上がった朝食と一緒に俺を待っててくれた。
「すみません、待たせちゃいました?」
「そんなことないよ。だって身支度もダーリンの大事な仕事でしょ♪」
「!?!?!?」
「何か?」
「今、今"ダーリン"って!!」
「ノリが悪いの相変わらずですねぇ。ちょっとからかってみただけ……本当は泣きそうになるから、茶化してみたんです」
「泣きそうって…」
困った表情で笑う万琴さんが、ちょっと目尻を指で拭う仕草を見て、この人も五年間ずっと耐えたんだと思うと、胸がいっぱいになって、朝食が食べられなくなりそうだ。
「朝ご飯食べないと、会社に遅刻しますよ?」
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