3 夢である者

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けど、購入してくれる人がいるなら、それはそれで有難く思っている。  自分の事を色々と思い返していたら、ジムについた。  私は更衣室でジャージに着替えて、身体をアップさせてから、シャドーを始める。  シャドー、サンドバック、ミット打ち、マスボクシング、縄跳び、筋トレと一通りのメニューをこなしてから、シャワーを浴びて帰宅する。スパーリングはジムの許可がないと出来ないから、毎回やっていることはないかな。気持ちとしては、ジムに通う度にやりたいと思う気持ちだけどね。  帰宅して部屋で一人の時間を過ごす。音楽を軽く流して、特に何かをする訳ではない。 音楽が流れ続ける中、テレビを見る事もなく、パソコンで遊ぶこともなく、ただ、両脚 をくの字に曲げて抱え込んで、部屋の真ん中に座り込み、白い壁の一点をじっと睨み続けてみる。  頭の中に浮かび上がってくる妄想達が躍り出す。  私は妄想達に魅せられて、微かな笑みを浮かべる。  そして、妄想達の踊りに導かれるかのように、私は静かに立ち上がり、夜の街の中を彷徨い始める……。妄想を実現させ、彼等の踊りを鎮静化するために。そう言えば、この妄想達はいつから現れるようになったのだろう。学生の頃はこんな事、無かったのにね。  分からないや……。     
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