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4月6日
平凡な、平凡なレンです。
僕は特記できるような経験をしてこなかった。
ただの幼児だった、ただの小学生だった、ただの中学生。
嫌われたり嫌がらせされたりということはあっても、いじめなんてものは受けてこなかった。
先生や親に怒られたことはあっても、罪を犯したことはない。
内出血や捻挫はしても、骨折したことはない。
平凡な、平凡な自分。
だから「私」は「僕」になったのかもしれない。
個性の欠片もなく臆病で弱くて泣き虫で嫌われる勇気もない「私」に、明るくてひょうきんで笑顔がトレードマークの人気者でたる「僕」を貼り付ける。
ああ、皆、「僕」を信じるんだ。
おととしはまだ「私」だったなあ。掘り起こさないでほしい黒歴史だ。
「僕」の一人称は未だ文面だけに留まっているが、いずれ口頭でも「僕」なんて言ってる自分を鏡で見ることになるかも。「僕」に乗っ取られちゃう。
僕が一時期、何重も人格を持っていたのはこの二人の自分のせいだ。演技じゃなかったと思う。
体験してみないことには厨二病と言われかねない感じだった。
今の僕からしたらすべて含めて演じていたように思う。なかなかの名(迷)役者だ。
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