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俺は届けられたばかりの
『国民価値審査結果書在中』
と、書かれた封筒を、ハサミで切って慎重に開封した。
それが初めて届けられたのは、俺がまだ6歳の時だった。
6歳の俺は、見た目は女の子のように可愛らしく、愛想もよく、そしてその歳にしては賢かった。
そんな俺の6歳の時の価値は、
なんと100万円!
平均よりもかなり上の数値だった(親から聞いた話)
それから10年後の今、16歳の俺は、自分で言うのもなんだけど、何度か芸能事務所の人から、声を掛けられる程の整った顔立ち、そして学校での成績も常にトップ3内をキープの頭脳、それに加えてスポーツ万能。
女にはモテるし、男にも憧れられる(当人調べ)
完璧なイケメン(当人調べ)
そんなこの俺の価値が、低いはずなどありえない。
6歳の時よりも相当跳ね上がっているに違いない!
俺は、一度大きく深呼吸をして、高鳴る鼓動を落ち着かせて、折り畳まれた結果書を開き、ゆっくりと文字を目で追った。
そしてそこには
そこには…
宇城 幹久(うしろ みきひさ)様の今回の審査後の価値
100円
俺が
この俺が!
100円の価値しかないだとぉっ!!!
俺は衝撃のあまり、無意識に、結果書を真っ二つに引き裂いていた。
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