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怒りが収まらないほどの衝撃だった。
大体この俺が100円なら、俺の親友(パシリ)のアイツはどうなる?
アイツは地味で、大人しくて、頭だって平均だし、運動音痴だ。俺が100円だと言うなら、アイツなんて頑張ったって1円とか。
俺はそう思って、アイツの家へと乗り込んだ。
俺の突然の訪問にも、アイツ…泰士(たいじ)はいつもの様に、ほんわりと笑って、俺を部屋へと迎え入れ、お菓子と飲み物まで持って来た。
泰士のこういうヘラヘラしたところが、俺はイライラして大嫌いだった。何をされても怒らない泰士を、俺は昔から怒らせたくて仕方なかった。
「幹久くん、突然どうしたの?僕に何か用だった?」
泰士に声を掛けられ、俺は我に返った。
そうだった。今は泰士を怒らせる事を、考えている場合ではなかった。
「なぁ、この間の価値審査の結果、お前の価値、どれくらいだった?」
「えー?価値の高い幹久くんに言うのは、恥ずかしいなぁ…僕なんて、この年代の平均値だよ?えっとね、1250……」
1250!
という事は、1250円か。
俺より価値が高いのはムカつくが、それでもこの年代の平均値が1250円なら、俺の100円という結果も、ちょっと手厳しく審査された結果位のものじゃないか!きっとそうに違いない!
そう思い込もうとしたのに、その後に続けられた泰士の言葉に、俺はまた打ちのめされたのだった。
「1250万円だよ。幹久くんの足元にも及ばないよねー」
ああああーっ
なんてことだ!
俺、泰士の足元にも及ばない……
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