2

3/5
前へ
/20ページ
次へ
怒りが収まらないほどの衝撃だった。 大体この俺が100円なら、俺の親友(パシリ)のアイツはどうなる? アイツは地味で、大人しくて、頭だって平均だし、運動音痴だ。俺が100円だと言うなら、アイツなんて頑張ったって1円とか。 俺はそう思って、アイツの家へと乗り込んだ。 俺の突然の訪問にも、アイツ…泰士(たいじ)はいつもの様に、ほんわりと笑って、俺を部屋へと迎え入れ、お菓子と飲み物まで持って来た。 泰士のこういうヘラヘラしたところが、俺はイライラして大嫌いだった。何をされても怒らない泰士を、俺は昔から怒らせたくて仕方なかった。 「幹久くん、突然どうしたの?僕に何か用だった?」 泰士に声を掛けられ、俺は我に返った。 そうだった。今は泰士を怒らせる事を、考えている場合ではなかった。 「なぁ、この間の価値審査の結果、お前の価値、どれくらいだった?」 「えー?価値の高い幹久くんに言うのは、恥ずかしいなぁ…僕なんて、この年代の平均値だよ?えっとね、1250……」 1250! という事は、1250円か。 俺より価値が高いのはムカつくが、それでもこの年代の平均値が1250円なら、俺の100円という結果も、ちょっと手厳しく審査された結果位のものじゃないか!きっとそうに違いない! そう思い込もうとしたのに、その後に続けられた泰士の言葉に、俺はまた打ちのめされたのだった。 「1250万円だよ。幹久くんの足元にも及ばないよねー」 ああああーっ なんてことだ! 俺、泰士の足元にも及ばない……
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加