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「…俺、ちょっと他に用事思い出した」
泰士にそう告げて、俺はふらふらと泰士の家を後にした。
何故だ。
何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ。
俺は何故100円という価値にされた?
俺は完璧なのに。
どうしても納得のいかない俺は、役所の住民相談窓口を訪れた。
窓口には、瓶底メガネを掛けた、地味で冴えない女の人が座っていて、俺が声を掛けると、笑顔で応対した。
出来ることなら、もっと美人な職員に話を聞いてもらいたかったなぁ…
そんな事を思いながら、俺は国民価値審査の結果に対しての、不満を全てぶちまけた。
「あなたは色々な面で優秀で完璧。だけど、心と性格が、憐れでならない位、最っ低なのね。だからこの結果なのに、それすら自分で気付くことが出来ない……なんて不憫なのかしら…」
瓶底メガネは、時折ハンカチで涙を拭いながら、憐れみの目で俺を見た。
「侮辱罪で訴えるぞ、この瓶底メガネ!」
立ち上がって叫ぶと、瓶底メガネはニヤリと口の端に笑みを浮かべて、俺に顔を近づけてきた。
「じゃあ、価値を上げる方法知りたくない?」
な、何?!価値を上げる方法?
「知りたいでしょ?」
「っっ!」
俺は拳を握り、怒りをなんとか鎮めて、椅子に座り直した。
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