2

4/5
前へ
/20ページ
次へ
「…俺、ちょっと他に用事思い出した」 泰士にそう告げて、俺はふらふらと泰士の家を後にした。 何故だ。 何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ。 俺は何故100円という価値にされた? 俺は完璧なのに。 どうしても納得のいかない俺は、役所の住民相談窓口を訪れた。 窓口には、瓶底メガネを掛けた、地味で冴えない女の人が座っていて、俺が声を掛けると、笑顔で応対した。 出来ることなら、もっと美人な職員に話を聞いてもらいたかったなぁ… そんな事を思いながら、俺は国民価値審査の結果に対しての、不満を全てぶちまけた。 「あなたは色々な面で優秀で完璧。だけど、心と性格が、憐れでならない位、最っ低なのね。だからこの結果なのに、それすら自分で気付くことが出来ない……なんて不憫なのかしら…」 瓶底メガネは、時折ハンカチで涙を拭いながら、憐れみの目で俺を見た。 「侮辱罪で訴えるぞ、この瓶底メガネ!」 立ち上がって叫ぶと、瓶底メガネはニヤリと口の端に笑みを浮かべて、俺に顔を近づけてきた。 「じゃあ、価値を上げる方法知りたくない?」 な、何?!価値を上げる方法? 「知りたいでしょ?」 「っっ!」 俺は拳を握り、怒りをなんとか鎮めて、椅子に座り直した。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加