100円の男

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「それで、その方法って？」

「周りの人に親切に、優しくしてあげればいいのよ」

瓶底メガネのその答えに、俺はまた怒りが込み上げて来て、思わず眉間に皺を寄せた。

「あら、そんな顔したら勿体ない。その恵まれた容姿に、恵まれた頭脳と運動神経、そこに優しさが加わったら、あなたは本当の完璧なイケメンになって、きっと今よりモテると思わない？そしたら自ずと価値も上がる。ね？簡単でいい話でしょ？」

なるほど！！

俺は今でも完璧だけど、これから周りの人に優しく、親切にすれば、より完璧になるって事か！

俺を100円とか審査したヤツらも、俺のより完璧な姿を目にすれば、1億いや、10億、100億の価値だって夢じゃない。

次の審査が一年後か、10年後か、それとももっと先かは分からないけれど、とにかく俺は、これから
人に優しく、親切にしてやればいい！

俺は必ず、100億の価値の男になってみせる！

俺が未来の自分の姿に酔いしれている傍らで、瓶底メガネの女性は、メガネを不気味に光らせて、口の端を僅かに吊り上げた。