どちらにしようかな まじょさまのいうとおり

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どちらにしようかな まじょさまのいうとおり

「よし、完成したぞ。見た目は全然解らないな」 戯れだ。ほんの戯れ。 初めは、普通ーーーに美味しいクッキーを。あいつに作ろうと思っていたのだ。 ワタシが魔女だと知りながら飽きもせずまとわりついてきて。仲良くなりたい思いを微塵も隠さずにいつもいつもいつもいつだって無垢な笑顔をワタシに向けて家にまで押し掛けてくるあいつに。柄にもなく魔法を使わずに。邪険にばかりしているから、たまには構ってやるかな、と。 そうしたらあいつの笑顔が、頭にちらついて。 ――――癪だ。ただのニンゲンの分際でワタシの脳内の一定面積を占めるなど。 と。若干イラついていた最中。 (待てよ。あいつが笑顔を歪めたり、表情を崩したら――さぞ愉快なのでは?) なーんて。悪魔的(魔女的)発想に至ったというわけで。 結果。 「見た目はなんら不審な点が見当たらないクッキーたち。その実かたや100gの砂糖入りがいくつか。 かたや100gの毒入り(ワタシ特製だぞ!えっへん!)がいくつか。あー、ニンゲンたちはなんと言ったかな。そうだ。ろしあんるーれっと、というやつだ。ふふ、胸が高鳴るではないか」 ニンゲンにとっては危険度が高い菓子が完成した!てってれー! 「ふむ、しかしあいつが死んでしまっては面白くないからな。ある程度毒性の弱いやつにしてやったわ。なんという優しさ!」 あいつの目は。口は。声色は。どのように変化していくだろうか。 ワタシをどれ程楽しませてくれるだろうか。 あいつが勝つかワタシが勝つか。 早く。早く知りたいものだ。 あいつのノックの音が響くまで 3 2 1 「まーた来たのか。帰れ!....と普段なら追い返す所だがな。今日は気が変わった。実はな、お前に作ったものがあるのだ――――」
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