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Destiny
椅子にふんぞり返って座る、その大柄でいかにも凶悪そうなスキンヘッドの男は、床に正座する僕たち三人を見回してから、ドスの効いた声を発した。
「お前たちがどうしてここに連れてこられたかわかるか?」
男の問いに、僕たちは三人揃って首を横に振る。すると、男のこめかみの辺りに血管が浮き出し、顔がみるみる紅くなってゆく。
「惚けるのもいい加減にしろ!!」
男は思い切り床を蹴る。その様子に、僕たちは恐怖を感じ、ビクビクと体を震わす。とはいえ、こんな男に拉致されて人気のない海辺の倉庫に連れてこられるような記憶は、僕には本当にない。他の二人はどうだかわからないが、少なくとも僕に関して言えば、何かの間違いではないかと思う。
だけど、男の様子に、僕は口を開くことすらできない。何が起こっているのかもわからないまま、ただ恐怖に震えるより他にない。
男は更にドスを効かせた声で言う。
「お前たち、神崎翠子という名前に聞き覚えがあるだろう!?」
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