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うっすらみえる山影と 声もとどかぬ海原の
果てから果てまでのっぺりと よどんだ空の老緑
薄い膜のもろさをも たたえたそれは薄ら雲
指のさかむけ 唇のささくれ すり傷のかさぶた
どれほどゆるりと剥がしても やぶれ傷つき血がにじむ
いっそとことん溜めこんで ぶあつく黒い雲となり 雷鳴うならせ幾昼夜
大気の埃ともろともに 大きな粒で地を穿ち
わたしの心ともろともに 川へ海へと流れ去り
すべて放たれ消えたのち ひらけた天を見やるとき
はじめて知るのだ 空の青
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