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「それじゃあ、死んでもあなたのそばにいるけど、いい? 断るならいまのうちよ」
一生そばに? それこそ僕が願うことだ。ナナコはハンドバッグから小さな瓶を取り出して、不気味な笑みを浮かべている。
その時僕は、その言葉の本当の意味を知らなかった。
「もちろん! ずっとそばにいてくれ!」
「そう、よかったわ。それじゃあ、あなたの魂をわたしにちょうだい」
それを聞いて狼狽した。
「ど、どういう意味?」
「こういう意味よ……」
ナナコの目が光ったかと思うと、僕の意識は遠くなっていった。
……。
…………。
………………。
「ナナコ、今日もご飯おいしいよ」
「あら、ありがとう」
僕とナナコは食事を終えて口づけを交わした。
今、僕たちは二人で暮らしている。他に誰もいない、二人きりの世界だ。もう邪魔は入らない。ついに理想の世界に来ることができたのだ。
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