雨の日にやってきた彼女(元カレ視点)

2/2
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「それじゃあ、死んでもあなたのそばにいるけど、いい? 断るならいまのうちよ」  一生そばに? それこそ僕が願うことだ。ナナコはハンドバッグから小さな瓶を取り出して、不気味な笑みを浮かべている。  その時僕は、その言葉の本当の意味を知らなかった。 「もちろん! ずっとそばにいてくれ!」 「そう、よかったわ。それじゃあ、あなたの魂をわたしにちょうだい」  それを聞いて狼狽した。 「ど、どういう意味?」 「こういう意味よ……」   ナナコの目が光ったかと思うと、僕の意識は遠くなっていった。  ……。  …………。  ………………。 「ナナコ、今日もご飯おいしいよ」 「あら、ありがとう」  僕とナナコは食事を終えて口づけを交わした。  今、僕たちは二人で暮らしている。他に誰もいない、二人きりの世界だ。もう邪魔は入らない。ついに理想の世界に来ることができたのだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!