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お見合い当日。
私は、私服ではあるものの正座でキッチリと相手を待っていた。
……1人で。
どうやら、1対1のお見合いらしい。
なんだその究極に話すことに困るお見合いは。
その上、相手……すなわちことりさんにはお見合い相手である私のことを男性だと認識しているらしい。
私は、私も相手が男性だと思っていた、という演技をしなければならないことになっている。
…………とても、とてもめんどくさい。
さっさと終わらせましょう。
コンコン
ノック。
襖ってノックする必要あるんですかね?
今度ググってみましょうか。
「失礼します」
襖が開く。
そこには、やはり理事長と同じ形をしたトサカのような髪型をしている少女がいた。
かなり顔は整っている。
服もオシャレで、私のようにこれを着ていけと言われたわけではなさそうだ。
……そこらへんは、理事長、自由らしいですし。
目を見開いている。
ああ、それはそうか。
私も演技をしないと。
「……え、えーと」
とりあえず戸惑った声を出す。
「あ、すすすいません!きっと間違えたんだと思います!」
かなり焦った様子で弁解をする彼女。
………面白いから泳がせておくか。
「あ、なるほど……」
苦笑いしながら返す。
「すいません……」
あちらも苦笑いで返ってくる。
「えーと、とりあえずお名前を聞いてよろしいでしょうか?」
彼女は訝しげに答える。
「な、何故か理由を聞いてよろしいでしょうか?」
……なんだこの珍妙な会話は。
「あ、あなたのお名前ではなく。お見合い相手様のお名前を……。一応です、一応。ありえないとは思いますけどね」
苦笑いで答える。
「あ、あー。確かに、あの、間違いの可能性もありますもんね」
戸惑いながらも、納得していただけたようだ。
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