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ユリはまったく素晴らしいロボットだった。私は彼女に夢中になった。
花のような唇で「ご主人さま」と呼ばれるたびに、なんともいえない充足感があった。
ユリを手放したあの男に感謝したいくらいだった。
だが、すぐにそうもいっていられなくなった。
ロボットは維持費がかかるのだ。
ユリのバッテリーは充電式だから、電気代が跳ね上がった。
その上、ユリはしょっちゅう不具合を起こした。
メンテナンスにかかる費用は高額で、次第に私は懐が痛いのと面倒なのとで、ユリがおかしくなっても「またか」と思うだけでしばらく放置するようになった。
はじめのうちは罪悪感もあったが、やがてそれも薄れた。
高くついたものだ、とまで思うようになっていた。
ある日私は、会社の同僚にユリのことを話した。
同僚は
「百円ぽっきりでそんないいロボットが手に入ったんだろう? ロボットなんか俺らみたいなのにはなかなか手が届かないんだから、それだけでいいじゃないか。文句言うなよ」
と言って、贅沢なやつだと私をいさめた。
こちらの気も知らないで。
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