二人との約束

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大おばあちゃんはだだっ広い畳の部屋の隅に寝ていた。その側に、おばあちゃんとお母さん、そしておばあちゃんの妹がいた。8月末だったけど、開け放たれた縁側を通って涼しい風が吹いていた。私は黙っておばあちゃんの膝に座り、大おばあちゃんの顔をのぞいた。真っ白だけど少し唇に赤みがあった。よく見ると毛布が上下している。 「かなちゃんいらっしゃい。直子たちも学校終わったら来るからね」 そう言ったのは、この家のすぐ近所に住むおばあちゃんの妹。直子というのはおばあちゃんの妹の孫で、私の再従兄弟にあたる。田舎はお盆明けすぐに夏休みが終わるからもう二学期が始まっているらしい。私は八月三十一日まで休みだからいつも直子ちゃんたちに羨ましがられた。 「うん」 私は適当に返事をした。正直、直子ちゃんと遊ぶよりおじさんと遊んだ方が好きだった。 ふと大おばあちゃんの枕元にある仏壇を見た。そこには白黒写真の大おじいちゃんがむつかしそうな顔で写っている。私は大おじいちゃんに会ったことがなく、お母さんも物心つく前に死んじゃったみたいでよく覚えていないらしい。だから遺影だけみるととても恐そうだけど、おばあちゃんは「あんなに優しい人はめったにいない」と言っていた。
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