二人との約束

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大おばあちゃんは十一人兄弟だからたくさん親戚がいた。でも、大おばあちゃんはおばあちゃんとおばあちゃんの妹の二人だけしか生んでいない。だからいとこや再従兄弟たちはそれほど多くないから覚えられた。でも、大おばあちゃんの兄弟の子供たちになると話は別だ。冠婚葬祭があるたびに、「大おばあちゃんの三番目の妹の今朝絵の二番目の息子の妻です」とか「大おばあちゃんの五番目の弟の佐治郎の長女の子どもです」とか、説明だか肩書きだか分からない長ったらしい紹介を大人たちはする。私はお母さんから「私は大おばあちゃんの長女サナエの娘の絵里子で、これが娘のかなです」と言われながら色々なおじさんおばさんに挨拶させられた。みんな大おばあちゃんを基準に話す。でも、子供ながらに不思議だったのは おじさん だ。おじさんには長ったらしい説明がつかないのだ。おじさんはおじさんだった。 一度、大おばあちゃんちでおばあちゃんとお母さんと私、そしておばあちゃんの妹の家族たちとご飯を食べている時に聞いたことがあった。 「ねー、おじさんは何なの?」 お母さんが私の顔をのぞく。 「おじさんは、大おばあちゃんの、何なの?」 私の質問に一度その場は静まり返り、そして一斉に大人たちが笑い出した。一瞬、聞いてはいけない事を聞いてしまったのかと思った。
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