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「かなにだけ教えてあげよう」
という声がした。再びおじさんを見た。
「おじさんは変わったんだ。大おばあちゃんと一緒に過ごすにつれておじさんの中で色々変わったんだ」
「よくわかんない」
おじさんの目は空に向けられた。
「うーん、たとえばかなはセロリが嫌いだろう?」
「うん」
「でも、誰かのおかげで嫌いだったものが食べられるようになった、という事だ」
「ふうん」
「その誰かが大おばあちゃんなの?だから、ニンニクを食べられるの?」
「え?」
おじさんはニンニク入りの餃子が大好きだ。
「おじさんは吸血鬼なんでしょ?でも大おばあちゃんのおかげで、ニンニクを食べられるようになったってことでしょ?」
少し間を置いておじさんは
「まあ、そんなところだな」
と言って私の頭を撫でた。
「おじさんて大おばあちゃんが好きなの?」
おじさんの驚いた顔を、この日初めて見たと思う。
少し考えてからおじさんは答えた。
「おじさんはみんなが大好きだよ」
私たちは水路でサワガニをある程度捕りつくし、田んぼに移動した。その道中、黄色い集団が私たちを出迎えた。ひまわり畑だった。おじさんは手前に生えた小さいひまわりを根っこから引き抜いた。私の背くらいの大きさだった。
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