夏の日

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心地よく洋楽が流れる車内。 んー… 隣で鼻歌交じりで運転する男のサングラス姿が似合いすぎていてツライ。 運転する男性の横顔ってなんでこんなにカッコいいんだろうか。サングラスのオプション付きなら尚更。 「今日は誰が来るの??」 「けっこう来るはずだが…。聖弥さんのとこと遥輝さんのとこ、親父たちや葵はもちろんだが、夏樹や誠さんも来るぞ。家族連れで来る奴が多いから、チビ達が多くて賑やかになるよ」 「小さい子好きだから楽しみ。それに海って久しぶりだからテンション上がっちゃう!弘翔はサーフィンするんでしょ?」 「何で知ってんだ?」 「遥輝さんから聞いた! 弘翔のサーフィン姿、カッコいいんだろうなぁ…」 「おいおい、ハードル上げてくれるなよ。大したもんじゃないぞ俺は」 「えーそうなの??」 「遥輝さんはプロ並みだけどな。俺は遥輝さんに教えてもらって少し齧った程度だよ」 もう慣れたはずなのにサングラス越しだからか、その困ったような顔が堪らなくカッコいい。 自分の彼氏の言動や表情にいちいちときめいている私ってそろそろ末期な気がしてならない。 一見するとクールで寡黙な男前なのに、全然そんな事なくて話題が豊富で話が上手い、喜怒哀楽がわかりやすくて表情豊かなんだよなぁ... いつまで経っても慣れる気がしない。常にドキドキさせられっぱなしだよ。 ──今日は昼間に海で遊んで、夕方には宿で宴会が始まるらしい。 子供たちは夜に花火をしたり、大人達は夜通し酒盛りをする人もいれば徹夜で麻雀大会を始める人たちも、子供たちと一緒に花火や肝試しをする人も。温泉宿だから温泉を満喫するのもアリらしい。 明日の朝は十中八九みんな二日酔いだから、お昼ごろから活動開始で浜辺でBBQをするみたい。 予定を一通り聞いただけでもう楽しそうだ。 「明日の午前中は少し席外すな」 「なんかあるの??」 「んー、ちょっと大事な用がな」 「そっか、わかった」 サラッと言われたのでそれ以上は聞かないでおく。 秋庭の人たちはみんないい人なので少しくらい弘翔がいなくても平気だろう。 「あ、日焼け止め塗り忘れた…」 「塗ってやろうか?」 「遠慮しとく!」 「そりゃ残念だ」 この人…何するかわからないし…。 人の悪い笑みを浮かべて楽しそうに揶揄ってくる弘翔。運転中じゃなかったら足の一つでも踏んでやったのに…。 なんだかんだ他愛もない話をして、途中でパーキングエリアに寄ればあっという間に海が見えてきた。 天気は快晴、絶好の海日和! 弘翔と遠出をしたことってあんまりないのでやっぱりテンション上がる。 「よし、着いたぞ」 「運転ありがとね、弘翔」 「ん」 宿から浜辺までは目と鼻の先なので宿の駐車場に車を置く。外観だけでもわかる立派な旅館だ。 この宿は秋庭組で貸切っているから問題はないらしい。 それにしても…
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