夏の日

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それにしても…カオス過ぎませんかねこの空間。 メンツが濃いっていうのもあるけど、各々が全力で自由なことをしているので本当にカオス。 遠巻きに一般客の人たちがこちらを伺っているのがよくわかる。気になる気持ちもよくわかる。 私だって海に遊びに来て顔が良い人が集まった謎の軍団がいたら気になって仕方ない。 本当、みんな、全力で、自由だし…! というか少しくらい自重してほしいような。 「夏だ!海だ!女だ!お~い独身勢!ナンパしに行こ~ぜ~」 「よし、夏さん!俺も行きます!」 ハイテンションで盛り上がっている夏樹さんと高巳。 大声で何を言ってるんだこの二人は…。 他の若い組員さんたちも盛り上がってるし。 高巳に至っては、葵ちゃんも来てるんだからやめなさいよ本当に。 「懲りないなお前ら…。 あとで刺されても知らねーぞ」 「うっせ、リア充は黙っとけ!こっちは死活問題なんだよ~」 「まぁまぁ美紅ちゃん。そんな下衆を見るような目で見ないでよ。女の子と楽しくおしゃべりしてくるだけだから!」 以前、葵ちゃんと高巳の会話を聞いてしまったからか、無意識に冷たい視線を投げてしまっていたらしい。 慌てた様子で弁明する高巳を見て弘翔は苦笑いだ。 『二人とも本気じゃないからほっとけ。毎年のことだ』とのことなのでほっとくことにした。 夏テンションで浮かれている人に何を言っても仕方がない。 夏樹さんと高巳と一緒にナンパにくり出した若い人たちが何人か、昌さんや純さん世代の女性陣はブルーシートで談笑中、昌さんは浜辺で遊んでいる小さい子たちに交じって全力で楽しんでいる。 自分の子供と泳いでいる組員さんもいるし、楓さんや何人かの若い女性陣はビーチバレーなんかをやっている。 楓さんに『聖弥さんは?』と聞けば、少し怒ったような口調で『あそこよ』と離れた防波堤を指さされた。 「聖弥さんと…土方さん?」 「そ。あの二人、釣りが趣味なのよ。聖ちゃんなんて毎年、私たちのことほっといて昼間から釣りよ!」 「あらー…」 「まぁ、秋庭の人たちの前じゃ照れてるって部分もあるんだろうけどね」 目を凝らしてみれば、二人は時折談笑しながら呑気に釣竿を垂らしている。へー...あの二人は仲良いんだ。 サマになっているというか…よく似合っている…。 ちなみに、土方さんは昌さんと同い年だけど独身貴族らしい。意外だ。 「駿~!お父さんにコレぶつけてきて!」 「わかった!全力!?」 「全力も全力よ。顔めがけておもいっきりね!」 いい笑顔で水風船を2つ駿君に渡す楓さん。 家族サービスが苦手な聖弥さんは息子の水風船の餌食になるようだ。 『息子の雄姿と聖ちゃんの間抜けな姿を写真に収めて来るわ』と楽しそうに楓さんも行ってしまった。 聖弥さんと楓さんって全然性格が違うのに、本当にお似合いで仲いいよなぁ…。 千賀家はまだ到着していないらしいので、私は葵ちゃんと一緒に着替えに行くことにした。 さて…いよいよこのビキニを着るのか…
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