鱈野サクラを殺したのは誰だ?

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鱈野サクラを殺したのは誰だ?

 売れないイラストレーターの黒塚アキラが鱈野家の家庭教師をすることになった。  アキラは鱈野家の隣にあるレンガづくりの家に住んでいた。  就職前夜、彼はコンビニで缶ビールを買っていると白衣の女に呼び止められた。額の蒼い美女は、七里の渡し跡まで案内して欲しいと頼んだ。  旧東海道五十三次の宿場町出会った宮宿と桑名宿を結んだ海路、それが七里の渡しだ。 「熱田に来てまだ日が浅いんです」 「お安い御用です」  ナースか!金あるんだろうな?彼女にしたら最高だろうな? 「隣にどうぞ?」  フォレスターの助手席に彼女を座らせ247をドライブ。交差点、赤信号で止まる。ウィンカーを右に出す。 「左に行くと伝馬町駅です」 「教えてくれてありがとう」  彼女は彼の就職先に詳しいし、織田って男を恐れていた。  信号が青に変わる。白鳥橋東の交差点を左に折れる。堀川沿いに出る。大瀬子公園を通り過ぎる。  この辺はかつて、魚市場があり、清州城の信長に魚を運ぶ魚とん屋が並んでいた。  彼女の立ち去り際に、彼女が精神病院脱走者であることを知って彼は驚愕した。  鱈野ランはメチャクチャ頭が悪かった。頭がタラン。もともとは岐阜に住んでいたが、霧山町に引っ越してきたそうだ。霧山町は熱田の近くにある。  鱈野サクラは『戦国時代』『室町時代』ってメモを机に残して死んだ。  車に轢かれると予知していたのか?  私は頭が悪いから事件解決を新井に頼むことにした。  だが、サクラの死因は轢死ではなかった。  静岡の片田舎でクリスマスの朝、T字路のT字型の道標に、首を切られT字型に吊るされた死体が発見された。  ドアにはTの血文字。新井はエラリー・クイーンのファンだ。犯人もエラリ・ークイーンのファンに違いない。  小説の中ではT字型がエジプト十字架やタウ十字架 の形であることを説明し、裸体主義者の預言者に疑いの目を向けるが、決定的な証拠が得られないまま事件は迷宮入りになる。    半年後、霧山にて第2の殺人、第3の殺人が発生する。被害者は同じく首を切られT字型に吊るされていたが、依然として犯人の正体はつかめない。  しかし、再び場所を静岡の片田舎に移して発生した第4の殺人において、現場に残された手がかりから、新井は遂に犯人の正体を見破る。そして、車や飛行機を駆使した追跡劇の末、名古屋で犯人を追い詰める。 「犯人は田島さんアンタだ!」
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