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「あなたの右となりに女の子が居るわ。珍しいわねえ。背後霊なら珍しくないけど、となりに居るなんて」
ここはショッピングモールのイベントスペースにある占いコーナーだ。
俺はほんの気まぐれで立ち寄った占いブースのひとつ『霊視占い』の女占い師にそう言われたのだ。
「はあ、となりに居るんですか。どんな女の子ですか?」
「若い娘よ。そうね、18歳くらい?20歳にはならないと思う。あなたのとなりで私ににこにこ笑いかけているわ」
60年代のウッドストックからタイムスリップしてきたような、髪の長いヒッピー風、年齢不詳の占い師は言った。
俺は自分の右となりを見る。もちろん、誰の姿もそこにはない。
「かわいらしい子よ。あなたのことが好きみたいね。あなたと一緒に居ることがうれしくてしかたないみたい」
・・・変わった芸風の占い師だな。
俺はそう思った。もちろん霊視などというものは、まったく信じていない。
「あなた、恋人は居るの?」
「いえ、いませんけど」
「ああやっぱりそう・・となりに彼女が居るからね、なかなかできないかもしれないわ」
確かに俺はここのところあまり恋愛がうまく行ってない。
目に見えないとなりの彼女のせいにはできないが、占い師ならそこのところアドバイスしてくれてもよさそうなもんだ。
馬鹿馬鹿しくなってきたので、俺は料金を支払うとそそくさとその場を立ち去った。
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