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わたしは自殺したいと思ったことはない。
いじめられても死にそうになるくらいではなかったし、勉強ができなくて困ったこともない。
さらに両親から愛情も受けて育ったと自負している。
もっと言えば、恋をして、結婚し、家族ができた。
ところがそんな私の生活を脅かそうとしている人がいる。
隣の奥さんだ。
引っ越してから3年たつが、お隣の奥さんと仲が良かったことはない。
いつもあいさつくらいはしたけれど。
でも、最近……彼女は暇になるとうちの玄関チャイムを鳴らす。
といっても、昼間だけだけど。
それから2時間くらいしゃべって帰っていく。
はっきり言って私ののんびりできる貴重な2時間だから帰ってほしい。でも、彼女はすっごく聞いてほしそうにするので、私は仕方なく聞いている。
ご近所として平和に過ごすためだ。
内容は大したことはない。だいたい毎日決まっている順番だ。
夫の不満、自分が太っているんじゃないかとか……見た目の不満、歳だから皺とかあっても仕方ないという順だ。今日もいつもと同じ話なのだろう。
私は彼女のために台所に立ってお茶を入れ始めた。
「ねえねえ、旦那さんって今も好きって言ってくれる?」
きょうの彼女の不満は旦那の愛情表現らしい。
「うーん、どうかな」
正直に答えていいものか私が考えていると
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